「わきが(ワキガ)」はワキの下が臭う状態を言い、医学的には腋臭症と言います。
腋臭症と言うと病気のように思われますが、病気ではありません。正常な人間であれば多かれ少なかれワキの下に臭いがするものです。その臭いが他の人より強いか、強く感じるかの違いだと思います。
汗腺には、エクリン腺とアポクリン腺の2種類があります。

エクリン腺は運動や病気などで体温が上がった時に出る汗腺のことで、全身の皮膚にあります。
エクリン腺は直接ワキガの原因とはならないのですが、ワキを湿潤な状態にするために細菌の増殖を助け、間接的に臭いを強くします。
わきや陰部、耳の中など体の特定の部位に存在し、思春期になるころに活動が活発になります。
エクリン腺から分泌される汗と異なり、アポクリン腺から分泌される汗そのものがニオイの原因となりやすく、体臭、特にアポクリン腺から分泌される汗は"わきが"の原因といわれています。
加えてワキの下は通気性が悪いため細菌が増殖しやすく、汗が早く分解されやすく、ニオイの元となりやすいのです。
アポクリン腺には個人差があります。
アポクリン腺の数は同じ人間でも人種や個人によって差があります。
また、わきがの人はアポクリン腺の数がそうでない人に比べて多いといわれ、女性より男性、日本人(東洋人)より欧米人のほうに多く見られます。
私たち人間はどうしてわきがのにおいを不快に思うのでしょうか?
そもそもにおいとは何なのでしょうか?においの元となる物質は非常に小さな分子で空気中を浮遊しています。鼻に入ると鼻の一番奥にある嗅覚細胞をもった鼻粘膜という部分に付着します。
そこで脳中枢を司る器官へ信号が送られにおいとして感じます。においにも様々なものがあり、人間が嗅ぎ分けられるだけでも200種類以上あると言われています。
欧米人の約8割がわきがの体質であるのに対して、我々日本人は約1割と言われています。人種的要因が大きいのですが、生活様式や食生活も関係しているようです。
わきが率の割合が高い国の人たちは日本人ほど体臭に関心がない、しいて言えば無頓着です。また、体臭自体その人の魅力を引き立てる要素もあり、欧米などでは体臭が異性に自分の存在を知らせるための「フェロモン」として感じている場合もあります。そのため、わきの下が臭うのが普通と考え、特に気にしないため治療を受けることもほとんどありません。
一方、我々日本人はわきの臭い自体は弱いのですが、極端に周囲を気にしたり、相手に不快感をあたえないかと悩むようです。従って臭いの強い方は日常生活で支障を抱えることになります。
また臭いのレベルは客観的に評価できるものではなく、本人の主観が決め手となります。いくら周囲の人が臭いを指摘しても、本人が全く気にしないときもありますし、本人だけが気にして悩む事もあります。
わきがと食生活には密接な関係があります。簡単にいうと、肉や乳製品ばかり食べていると、わきがになりやすくなってしまうのです。
肉にはタンパク質や動物性脂肪がたくさん含まれています。そして乳製品には脂肪酸や中性脂肪がたくさん含まれています。どちらとも食べ過ぎると"太りやすい食べ物"です。
そもそも、太るのは生活習慣病の原因になるので好ましくないのですが、それだけでなく太って皮下脂肪が増えると、わきがの原因であるアポクリン汗腺やエクリン汗腺、皮脂腺が刺激・活性化され、汗や皮脂の分泌量が増えてしまいます。
わきがというのは「アポクリン汗と皮脂が、エクリン汗の湿り気で混ざり合い、それを細菌が分解する」ことで発生します。つまり汗や皮脂の分泌量が増えれば、それだけにおいが発生しやすくなるというわけなのです。
においを抑えたい、もしくはわきがになりにくくしたい場合には、魚や野菜中心の食生活を送るようにしましょう。皮下脂肪を蓄えるのではなく、皮下脂肪をなくす食生活を心がけていれば、アポクリン汗腺やエクリン汗腺、皮脂腺が刺激されて活性化されることを少なくなり、汗や皮脂の分泌量も減り、においにくくなります。
わきがであると認識し始める時期は女性では13~19歳頃、男性では14~21歳頃ですが、最近は性ホルモンの影響で低年齢化が進んでいます。
わきが体質は遺伝することが確認されており、両親共にわきが体質の場合は約8割の子に、親の一方がわきが体質の場合はほぼ半分の子にわきがが遺伝すると言われています。
アポクリン汗腺は耳の穴の中にもあるため、耳垢がやわらかいかどうかを調べることで、わきが体質かどうかの目安にすることができます。 これはアポクリン汗に含まれる脂肪や蛋白質によって耳垢が湿ってやわらかくなるためなのです。耳の中のアポクリン汗腺は早くから発達するので、まだわきがが発症しない子供のころからわきがかどうかを調べることが可能です。
ただし、耳垢がやわらかい体質が遺伝しているからといって、その後のアポクリン汗腺の発達には個人差があるので、必ずしも全員がわきがになるとは限りません。
もちろんストレスもわきがに関係があります。ストレスなどによって緊張状態になると、脳内でアドレナリンが分泌され、血液内の血糖値が上がり、アポクリン汗腺やエクリン汗腺、皮脂腺が刺激されます。後は上で説明したのと同じで、汗や皮脂の分泌量が増えると、においやすいということです。
ストレスで一番やっかいなのは、"悪循環しやすい"ということです。
例えば、仕事などのストレスのせいでわきがの臭いが強くなってしまったとします。そして、そのわきがの臭いに自分で気づいたとしましょう。どうなると思いますか?大抵の人が、わきがの臭いがさらに強くなります。そしてさらにストレスを感じます。
「自分はわきがである」と気づくことによって、さらにストレスがたまってしまい、そのストレスのせいで、さらにわきがの臭いが強くなってしまうのです。そして、さらにストレスが・・・・と、どんどん悪循環してしまいます。
こういう場合、ストレスをためないことも大切なのですが、それよりもストレスの根源である"わきが"を適切に治療したほうが賢明です。わきがの臭いが解消されれば、ストレスも軽くなります。